双子の弟と幼なじみ
「…なんでだろう、持ってきたんだと思います」


「思いますって、お前なぁ」




目をこすりながら首をかしげるみぃ。


入学早々、教師に目をつけられている。




「で、立花。斜め後ろ、その阿部は阿部歩宇の方であってるか?」




と、僕の確認をみぃに任せる教師。


そのままみぃは後ろを振り返って僕を見る。


そして、すぐに前を向き直す。




「…ん、ふーくんです」


「ほんとにか?大丈夫か?目かすんだりしてないか?」




みぃは不安になったのかもう一度こちらを振り返った。




「…ふーくん、あなたはふーくん?」


「うん、僕は歩宇だよ?」


「…せんせ、ちゃんとふーくんの声です」


「よし、ならいい」




これは毎朝のこと。


僕が僕であることの確認はみぃに一任されている。


…なんでかはわからない。


誰かが、僕らを幼なじみといったんだろうけど。


まぁ、そんなこと誰でもいい。




みぃには僕らがいるって牽制できるし、みぃに変な虫がつかなくて楽。




そんな恒例行事を今日も通過して、1日が始まる。
< 13 / 82 >

この作品をシェア

pagetop