双子の弟と幼なじみ
『ゆーゆは?』
「みぃ、帰るよ」


「ん…ちょっと待って」




そう言って、ロッカーの中から3冊の本を取りだすみぃ。




「読み終わったの?」


「うん、また新しいの持ってこようと思って」


「そっか」




みぃは鞄の中にそれを入れると、そのまま肩にかけた。




「ん、行こ」




眠そうに目を擦って、歩き出す。


今日は1日中、寝てたように思うんだけども。




僕はみぃの半歩後ろを歩き出す。




「ふーくん。ゆーゆは?」


「悠宇は今日から部活」


「…そーなの」




表情は変わらないけど心なしか寂しそうに見える。


…くやし。




「うん、悠宇は念願の陸上部だしね。応援してあげなよ?」


「ん。わかってる。


ゆーゆ、走るの早いもんね」




無表情にそれだけ言うと、みぃはローファーに履き替えて、昇降口を出た。
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