双子の弟と幼なじみ
『…はぁ、別に』
「あ、あのっ、悠宇くんですか…っ」


「ん?あぁ、ごめんね。僕、歩宇なんだ」


「…っ、あ、ごめんなさいっ」


「いえいえ、そんな謝らなくていいよ?」




そういって僕は、そのまま廊下を歩き出した。




昼休み、朝練で間に合わなかった悠宇のお弁当を届けに廊下を歩いていたら、誰かも知らない女の子に話しかけられて。


まぁ、よくある話なんだけど。


僕に来てくれていたとしても誰かわからない場合もあるし。




たったひと教室またぐ間にこんなことになるのか、今度からは後ろの扉から出よ。




僕は隣のクラスを覗いて、悠宇を探す。


あ、いた。




「悠宇」


「あー、悪りぃ、ありがと」


「いーえ、朝練お疲れ。放課後、部活始まる前に持ってきてね?」
「あぁ、わかってるよ」


「ん、よろしい。今日の夕ご飯のリクエストは?」


「…餃子」


「却下、時間かかるでしょ」


「えー…なんでもいいんだけど」
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