双子の弟と幼なじみ
「いや、朝から大変だなって」


「それを承諾したのは歩宇(ふう)だろ。頑張れ」




投げやりの兄。


あんたは本当に俺の兄か。




こういうことになったのは、2週間前、高校入学直前の立花家での出来事に遡る───────





「ごめんなさいね、悠宇くん、歩宇くん。


ちょっと美優のことでお願いがあって」




みぃにそっくりに笑う女の人、みぃの母さんである美鈴(みすず)さんはそう言って、僕たちにお茶を出した。


そのまま椅子に座る美鈴さんの隣にはみぃがあくびをしながらつまんなさそうに座っている。




「美鈴さんからのお願いなんて、珍しいですね?」


「そう?まぁ、でもそうかもしれないわね」




ふふふっとおしとやかに笑う美鈴さんは僕たちの顔を眺めた。




「私ね、来週、美優の入学式へ行った後すぐにフランスへ飛ぶことになったの」


「は?」




驚いた返事をしたのは、多分僕だし、きっと悠宇でもあると思う。
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