双子の弟と幼なじみ
こういう時ばっかり役に立たない頭をフル回転させながら、りーくんを見上げる。



「まぁ…いいけどさ。
俺が教えてやるよ」



そう言って、りーくんは空いている方の手でみゆの顎を掴む。



…なに。


ん?


りーくんの両手がふさがって、殴られることはなくなった。


なくなったから、今からなにされるかわからなくなってしまった。



瞬時に理解しようと試みる頭を置き去りにして、りーくんの顔が近づく。



あ、わかった。


この人はあれだ。


みゆのこと好きなんじゃなくて、ただ、キスとか、そういうことをしたいだけの人だ。



今更反抗しても遅い。


男の子の力に敵うはずもないし、顔を動かそうにも、手で掴まれてる。


終わりだおわり。


みゆのファーストキスはこんなロクでもない男に取られる。




「みぃになにしてんの?」



そんなとき。


教室の扉、みゆたちがいる方じゃない方から、声がした。
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