双子の弟と幼なじみ
「いや、遠慮しとく。みぃが理玖を選ばない限りは、理玖がみぃを選んでも渡さないから」



いつまでも自分のことをみゆって呼んでちゃダメ?


みゆがみゆじゃなくなれば妹じゃなくて、女の子としてみてくれる?



…考えても、わかんないや。



「ふーくん、帰ろ」



頭がパンクしたみゆは結局考えることをやめてしまって。


悶々とはしているけど、とりあえず、このこぼれ落ちそうな涙さえ見られなきゃそれでいい。



「うん、そうだね。帰ろ」



ふーくんは教室の奥に行ってみゆの本をロッカーに入れて、みゆの
カバンとふーくんのかばんをもって、みゆの手を掴んで教室を出た。



いつも通りの帰り道、違うのはみゆの視界が少し歪んでいることくらい。



今まで、直接そういうこと言われたことなかったから。


ふーくんが、私のことをどうとか、そういうこと言ってるのを見たことなかったから。



実際言われると、こんな気持ちになるとか、知らなかった。



子どもの頃から、みゆもふーくんも、下手に賢くて。


その頃からみゆはふーくんのことをずっと見てた。
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