双子の弟と幼なじみ
小さい頃の曖昧な約束とか、そういうことをしている子達を微笑ましいなんて、思ってた。


同い年なのにね。


そんなの、叶うことなんてほとんどない。


小さい頃の馬鹿みたいに純粋な約束は、結局最後には蔑ろにされちゃう。


それが怖くて、結局、そんな可愛い約束でさえも、しなかったから。


ふーくんが嘘でもそういうこと思ってくれたりとか、そういうのも知らない。


知らなかった。



なのに、知ってしまった。



家について、ローファーを脱ぐ。


みゆはふーくんからカバンを受け取ってそのまま部屋に入る。



「ねぇみぃ」



そうしようとしたのに。


ふーくんに腕を掴まれて、前に進めない。


「なに」


「…本当になにもされてない?それとも、怖かっただけ?」



ふーくんは振り返ったみゆの顔を心配そうに覗き込む。



「泣かないで、みぃ。ごめんね、僕のせいで」



そう言って、親指でみゆの涙を拭うと、抱きしめてくれる。



結局。ふーくんには全部バレてて、それでいて、妹とかいう割に、突き放してはくれない。


…好きにさせたまま、宙ぶらりんのまま、解放してくれない。
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