異世界ピエロに恋した私。
中には店のライトの光でキラキラと輝く指輪が入っていた。
サマナは指にはめて、それを嬉しそうに眺める。

幸せそうな顔って、こういう表情のことをいうんだな。

「ちょっと〜、ミリアからのおめでとうの言葉は〜?」

「うん、婚約おめでとう」

「も〜、相変わらず表情ないんだから〜!」

「ハハ、じゃあ今夜はサービスということで代金はフリーで大丈夫ですよ」

シュルーズさんの言葉に目を輝かせた彼女は、どんどんと注文をする。
そんな中私は、自身の薬指を見つめてとあることを考えていた。

『私も結婚できるのだろうか、または幸せになれるのだろうか』

恋愛とは無縁だということは高校を卒業してから理解している。
だが、こんな私にも結婚という幸せを掴めるのだろうか、そんな不安が脳裏を横切った。
サマナの婚約の言葉は、めでたい気持ちと不安な気持ちが押し寄せてきた。
だがそんなこと言えるはずもなく、そんな気持ちを流すようにカクテルを一気に飲み干した。
< 12 / 72 >

この作品をシェア

pagetop