異世界ピエロに恋した私。
夜風は嫌という程寒くて、指先までも冷やしてきた。

「はぁ...幸せそうでいいな」

先程の光景が目に焼き付いて離れない。
わざわざ彼女の所まで迎えに来てくれるなんて、なんて優しいんだろう。
それに比べて私は1人でこんな暗くて寒い所を歩いているなんて馬鹿みたい。
何度目からわからないため息が暗闇の中へ吸い込まれる。

「...ん?」

歩いている時、何か柔らかい物を踏んでしまったようだ。
スマホの明かりで何かを確認するため、拾い上げてみる。

「ピエロ、の人形??」

手のひらサイズのピエロの人形だった。
薄汚れて不気味な笑みを浮かべているあたり気味が悪い。
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