異世界ピエロに恋した私。
部屋が薄暗くて思うように見えない。
ポケットからスマホを取り出して、その人物を照らす。

「ッ...ピエロ!?」

人物の正体はピエロだった。
しかも先程拾った人形にそっくりな格好をしている。
ピエロは私を見つめると、ニヤリと背筋の凍るような笑みを浮かべてこちらへ走ってきた。

『逃げないと』

頭の中では理解出来ているはずなのに体が動かない。
動け動けと念を押すが、もう既に遅かった。

「あぁ...」

すぐ目の前にピエロが来てしまったのだ。
ピエロは勢いよく私に向かって手を伸ばしてきた。
死んだな、と思ってギュッと目を瞑る。

「...あれ?」

だが、痛みは来ない、寧ろ触れられている感触もない。
目をゆっくりと開くと、とあるものが目に映った。

「は、な?」

1輪の綺麗な花だ。
そう、ピエロが私に花を差し出しているのだ。
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