異世界ピエロに恋した私。
「何、誰こんな乱雑に扉を開けるのは」

「シッ!ここに隠れてろ!」

ピエロは私の腕を引っ張ると机の下に押し込んだ。
何すんだ、と言ってやろうとしたが彼の真剣な顔にそんな言葉は出ようともしない。

「いい子だ」

ぽんぽんと私の頭を撫でると、そのまま何処かへ歩き出してしまった。
ピエロの歩く音だけの空間の響きに、いかつい男の声が混じった。

「やぁこんにちは!」

「ふん!相変わらず間抜けな顔しやがってMr.カルルト。
お披露目の時間だ、行くぞ」

パタン

部屋がしんと静寂になる。
もういいかなと思い机から抜け出し、近くの椅子に腰掛けた。

何なんだ一体、何が起きてるっていうのよ。

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