異世界ピエロに恋した私。
ほらあそこ、と彼女が指差すのは1つの部屋の扉。
大体想像はついていた、お金持ちのクローゼットは1つの部屋だということが。
自身の家のクローゼットを思い出すと泣きたくなる。
中に足を踏み入れると、流石に驚きで声が出なかった。

「ひ、広い」

そこには多数のドレスや靴、小物などがそこら中ぎっしりと詰められていた。
固まっている一方で、彼女はドレスを選び始める。

「この中のどれかなんてどう!?」

そう言い、何着か持って私の元へやってきた。
しかし、彼女の持っているドレスは全てプリンセスラインの物ばかりでフラメンコの踊りには向いていない物だ。
下がふわふわとしていて動きにくいのだ。

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