異世界ピエロに恋した私。
確かによく考えてみると相手はどこぞの王家の姫だ。断るなんて今後の自身に支障をきたすかもしれない、もしかしたら私だけじゃなくカルルトにも。

『やむを得ない』

そんなことを思いつつ、息をついた。

「わかりました、私の踊りは後ほどのお茶会で披露させていただきます。
えっと、お姫様」

「やったぁ!
あ、そういえば名前は教えてもらったものの私が言ってなかったわね!
メリナ・ヒスナー、ヒスナー家の姫です!
メリナって呼んでね?これも姫からの命令です」

『2度までも姫からの命令を使うなんて卑怯だ』

そんなこと言ってもどうにもならないんだろうと思い、とりあえず握手だけした。

「姫様!
準備するので早くこちらへ!Ms.ベッカリー様もです!」

メイドはぐいぐいと女の力だとは思えないほどの強さで私達を引っ張っているが、踊る衣装がまだ決まっていない。
なにかしらの物は持っていこうと考え、手の届く範囲にあったドレスを手に取り、そのままメイドに連れていかれた。
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