異世界ピエロに恋した私。
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「...全然戻ってこないね〜」

そう言うと手のひらサイズのベッドに寝そべるリグナ。
そわそわとしている辺り、ミリアと早く会いたいと思っているのが丸わかりだ。

「そうだな」

一方で俺は机に座って本を読んでいた。
部屋では、いやリグナ以外の前では一切ピエロらしいことはしていない、ただそこに存在する人間と変わりないのだ。
見た目は真っ白で気持ちの悪いピエロのままだがな。

「もぉ〜!また読んでるのそれ?」

リグナが言うそれとは、今俺が持っている"Smile World"という本だ。

「あぁ」

「飽きない?」

「飽きた」

パタンと空気を挟むようにして本を閉じた。
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