異世界ピエロに恋した私。
「いいのよ。
あ、このティー美味しいのよ!ぜひ飲んで!」

そう言って手渡されたのは薔薇の描かれたティーカップ。
匂いからしてローズティーだろう。

「これはこれは!
ありがたくいただきます」

正直、花の香りがするティーはあまり好まない。
しかしそんなこと口が裂けても言えず、一口己の喉へ通らせた。

「ん〜!
とても美味しい!」

「でしょでしょ!」

こうやってまた自身を偽って笑う。
姫様にはバレぬよう、全て飲み干したフリをして近くを通ったボーイへ返却する。

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