異世界ピエロに恋した私。
そうこうしているうちに、会場に甲高いマイクの音が響き渡った。
同時に舞台に上がる、細身の男。
服装からして、金持ちだと物語っている。

「え〜、皆様本日のお茶会のご参加ありがとうございます。
主催者、マグナス・ヒスナーと申します」

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ!

そこら中から拍手の音が。
俺も乗るように手と手を打ち付け合わせ、音を鳴らす。

『マグナス王、俺はお前が大嫌いだ』

「わはぁ!お父様だわ!私ちょっと行ってくるわ!」

姫様ははしゃぎながら舞台の方へ向かう。
俺から視線を外したところで手の動きを止めた。

そう、姫様はこの男の実の娘であるのだ。

あの男に思い切り抱きつく様子からして、まだ裏の姿を知らないのだろう。
姫様以外もだ、何であんな奴に歓声を浴びさせる。
せいぜい浴びさせるとしたら、そこのゴミ箱に溜まっている汚い物がお似合いだ。
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