私の彼氏は中学生です。
何照れてんの、私。


相手は4歳年下で、私には拓海がいるのに。


分かってはいるのに、不覚にもドキドキしてしまった。



かほに似たその中性的な顔立ちはきっと女の子たちに人気だろうな。

体格差があるのに、それを一切感じさせない実力。


さすがは、かほの弟。




私達の隣でセーラー服を着た中学生の女の子たちがきゃあきゃあと騒いでいる。



「かいくーん!お疲れさまー!!」



1人の女の子が手を振りながら身を乗り出す。


すると、洋くんの隣に立っていた4番の男の子が振り返ってにっこりと手を振る。

今の中学生にはああいうイケメンが人気なんだ。


私は洋くんの顔の方が可愛くて好きだけどな。




...........ん?好き?


んー、うん。

可愛いから。



「洋が出る試合、今日はこれ一つなの。だから、ご飯食べに行かない?ちょっと早めの」

「いいね、行く行く。でも、その前にジュース買ってきていい?」

「あたしも行く」





場所を移し、体育館から少し離れた自販機に来ていた。

体育館近くにある2つの自販機は中学生と試合を見に来た保護者の人たちでいっぱいだったから。



「ミク、それ何?」

「ザクロソーダ」

「何か、まがまがしい色だね」

「あははっ!でも美味しいよ、いる?」

「いいや…」

「それにしても、洋くんすごかったね」

「いやいや、今日はたまたま調子が良かっただけだって」

「もーそんなこと言わないの」

「えー?まさか惚れちゃった?」



かほがふざけて、私を覗き込む。

口につけようとしたペットボトルを離し。



「何言ってんの。私には彼氏がいることをお忘れなくー」



小さく笑い、そうは言ったものの内心では少し焦っていた。

何で焦ってるの、私。


何で。




ピンク紫に映る外の世界。

上を見れば青い空。


はっきりと分かれる色の世界は、まるで曖昧な私の心を浮き彫りにした。



そんな曖昧を私はサイダーで勢いよく奥へと流し込んだ。



「姉ちゃん!」



雑踏の中で誰かが叫ぶ。


そこには紺のバスケパンツに少し大きめのパーカーを着ている洋くんと洋くんのチームの子達がいた。



静かだった辺りはたちまち賑やかになり、あっという間に中学生で溢れた。



「洋、お疲れー」

「うん」
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