ずっと前から好きだから
「あ.......」



夕ご飯の調理を終えて、リビングに行くとちょうど匠が帰ってきたところで、ドアが開く。



「ただいま」


「.......っ、うん」



ちゃんとしようって、誓ったのにやっぱり匠の顔をみれば、シオンさんがチラつくのは何も変わらなくて。
それを打開するためにも、きちんとしないとならないのに匠から顔を逸らしてしまう。



「おい、お前なんなんだよ」



キッチンに戻ろうとしたあたしの腕を掴んでそのままソファーへと連れていかれる。



「.......っ、匠.......近い」



あたしの顔をのぞき込んだあたしと匠の距離はぐっと近づく。
そんな距離に耐えられるわけもなく、顔を逸らそうとするけど、匠の手がそれをさせてくれない。



「気分わりぃーんだよ。そんなふうにされっとよ」



イライラした様子の匠に顎をクイッと持ち上げられる。



「匠.......」


「俺、何かしたか?」



匠の言葉にフルフルと首を振る。



「じゃあなんなんだよ?いえよ、ハッキリ」



匠が怒るのも無理はない。
ずっと、こんな態度でいるわけにもいかない。

< 104 / 192 >

この作品をシェア

pagetop