ずっと前から好きだから
……………………………………………



「匠!」



柊と詩音と話していると、バタバタとこころが走ってくる。



「こころ、どーした?」


「夏実が!夏実がいなくなっちゃって!」


「は?なんで?」



さっきまではこころといっしょにいたはずだ。



「すぐ戻るからっていわれたんだけど、全然戻ってこなくて.......」


「だから、なんでそうなったんだって聞いてんだよ」



焦ってるのか、珍しくしどろもどろになっていて、落ち着かせるように肩をつかむ。



「匠のせいでしょ!」


「は?なんで俺なんだよ.......」



わけが分からないことを言い始めるこころにイライラが募る。



「夏実、ずっとこの子のこと気にしてる」


「え?」



こころが目を向けたのは、詩音で。
突然目を向けられた詩音は、不思議そうに首をかしげている。



「どうして、夏実のことが好きなのに、夏実の言葉ちゃんと聞いてあげないの?」


「え?」


「柊くんも。なんで、夏実に冷たくしたの?」



こころが今にも泣きそうな表情で俺ら2人に言う。

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