ずっと前から好きだから
「俺は、あんな子知らない」


「柊、それは.......」



柊のことを止めようと、腕を掴むけど柊は俺の言うことなんか聞こうとしない。



「俺、ずっと好きだったから。この子のことが」



柊が詩音の手に触れる。



「.......誰のことが好きでも構わないけど、夏実のこと知らないとか人のことバカにしてる?転校しても、ずっと二人のこと大好きでずっと2人に会いたいって思ってた.......そんな夏実のこと、そんなふうに言うならあたし許さないよ」


「俺にとってのなっちゃんはここにいるなっちゃんだけだから。だから、俺はもう間違えないよ」


「.......は?」



こころの眉間のシワが一層深くなっていく。



「ごめん、こころ。いまの柊に何言ってもダメだから。話題変えよ。夏実どこにいるかわかんねぇの?「あ、そろそろ帰らないと」



夏実のことを聞こうとした瞬間に、詩音が時計をみて、口にする。



「あ、こころ帰るの送んねぇと.......「あんた、夏実のことなにも大事に思ってないんだね。もういいよ」



俺の頭が詩音にいった瞬間、こころの声色が低くなって、スっとどこかに歩きだそうとする。

< 140 / 192 >

この作品をシェア

pagetop