ずっと前から好きだから
「でも.......匠、詩音さんが好きなんじゃないの?」


「え?なんで、詩音?あぁ.......俺があいつを気にするから勘違いさせてたのか?」



匠の様子は、本当に詩音さんのことを好きになったことすらなさそうで。



「そうじゃなくて.......ネックレス.......」



「.......あー、これか」



ネックレストップに触れて、少し気まずそうな顔になる。



「ほら、やっぱり詩音さんのこと.......」


「違うんだよ。そうじゃないんだよ。このネックレスは.......あー、もう。1回家行くぞ!」



そのまま、あたしの腕を掴んで、こころちゃんのマンションをあとにする。


ずっと匠から逃げていた分、匠と触れ合うこともずっとなくて、今掴まれている腕が熱い。
掴まれている部分が熱くて仕方がない。



「家にいってどうするの.......?」


「いいから、ついてきて。話は家についてからだ」



有無を言わさない匠の言葉。
その先になにがあるのか、わからないけど、匠に「好きだ」と言われたさっきの言葉に嘘はないと思うから。
ただ、匠についていくだけ。

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