ずっと前から好きだから
「夏実、今日から早速部活あんだけど見に来るか?」


「え、ほんと!?でも、まだ部員募集すらしてないんじゃないの?」


「おう。正式にはな。でも、俺ら推薦だから部活出ていいんだよ」


「そっかー。行くいく!」



嬉しかった。
野球をしてる姿がやっぱり好きだから。

〝俺ら〟ってことは、そこに柊くんも含まれてるってこと。
部活にいけば柊くんに会える。
それだけで数時間後がとても楽しみになる。
単純なんだ。

柊くんのことに関してだけは、ずっとずっと単純。



「入学そうそう部活とか、ほんと野球バカだよね二人とも」


「あんなー、どんだけいままで野球やってきたと思ってんだろ。お前も見てんだろ」


「まぁね、あたしが転校してきた小三の頃にはもうやってたよね」



こころちゃんが転校してきた小三。
あたしと入れ違いに2人の前に現れた女の子。
あたしの知らない2人を知ってることにどうしても羨ましく感じてしまう。



「あ、よく勘違いされるけど、あたし匠のことなんとも思ってないからね!?」



慌てたようにブンブンと手を顔を前で振ってるこころちゃん。



「大丈夫だよ、こころちゃん」



そんな勘違いはしない。
ただ、一緒にいた時間が羨ましいだけ。

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