ずっと前から好きだから
──ガチャリ
と音がしたと思った次の瞬間、この部屋のドアがあいた。



「え、お父さん!?」



部屋に入ってきたのは、実家にいるはずのあたしのお父さん。

匠の「でも」の続きは聞けなかった。



「すいません、来てもらって」


「いいや。久しぶりだね、匠」



お父さんが優しそうな笑顔で匠の肩をポンっと叩く。



「匠からどこまで聞いた?」



次にあたしをみて、ふっと一息つく。



「聞いたというか、写真.......とプリクラを見た」



「そっか。いつかは言わなきゃならないと思って.......ここまできてしまった。本当にごめんな.......」



ポンっとあたしの頭を撫でてから、頭を深くさげる。



「え、待って.......あたしまだなにもわからないから、謝られても困る.......まずは、どうしてあたしが詩音って名前でこの子があたしの名前なのか.......知りたい」



顔を上げさせて、あたしはお父さんの顔をみつめる。



「なんか、お前.......変わったか?」


「.......え?」

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