ずっと前から好きだから
「ねぇ、たくみく「おまえなんかきらいだ」


「なっ、たくみくんのバカ!」



大粒の涙を流しながら、竜崎は走って帰って行った。



「あれ?どうしたの?」


「しらね」



俺が1番言われなくない、詩音の兄貴へ対する気持ちのことを言われて、無性に腹が立った。

俺は、子供だから。
兄貴のように、広い心を持つこともできない。
でも、詩音はそんな兄貴のことが好きだから、俺も兄貴みたいにいつかなりたいってずっと思っていた。



「しおん、あぶない!!!!」



だから、宿題を提出できてなくて、早く帰れなかったあの日。
早く、詩音に会いたいなとか、今日はあいつらが先に会ってんのかーとか考えながら歩いてたら、夏実のそんな声が聞こえて、声のする方へと走った。


その瞬間──キキーーーーッと凄まじいくらいの、音が鳴って、俺の頭は真っ白になった。



「なつみ、なつみ!」



詩音のそんな声が聞こえてきて、詩音が無事なことにホッとしつつも、その場へ気を取り直して走った。

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