ずっと前から好きだから
「たくみ、おれ、おかあさんにってくる!」
青ざめた顔をした柊が走って、マンションへと向かっていく。
車の周りには人だかりで、横たわっている夏実に「なつみ、なつみ」って涙を流して呼びかけている詩音。
なにがあったのか全然わからなかった。
俺は、足がすくんでそこから動けなくて、そんな状況のなか、やがて救急車がやってきて、夏実が担架で運ばれ、そして、詩音も一緒に乗って、そして、偶然通りかかった兄貴も同乗していた。
俺が声を聞いた時、夏実の声で「しおん、あぶない」と聞こえた。
だから、轢かれそうになっていたのは詩音のはずで。
でも、実際に轢かれたのは夏実だった。
「匠、夏実は?」
柊に連れられてやってきた、詩音と夏実のお父さんが、息を切らして俺に聞いてくる。
「きゅうきゅうしゃで.......」
「ありがとう。車で向かうから、落ち着いたら連絡する」
また、来た道を全速力で引き返していった。
「しゅう、なにがあったんだ?」
「りゅうざきが.......」
「え?りゅうざき?」
俺の知る限りでは、まわりに竜崎はいなかったはずだ。
青ざめた顔をした柊が走って、マンションへと向かっていく。
車の周りには人だかりで、横たわっている夏実に「なつみ、なつみ」って涙を流して呼びかけている詩音。
なにがあったのか全然わからなかった。
俺は、足がすくんでそこから動けなくて、そんな状況のなか、やがて救急車がやってきて、夏実が担架で運ばれ、そして、詩音も一緒に乗って、そして、偶然通りかかった兄貴も同乗していた。
俺が声を聞いた時、夏実の声で「しおん、あぶない」と聞こえた。
だから、轢かれそうになっていたのは詩音のはずで。
でも、実際に轢かれたのは夏実だった。
「匠、夏実は?」
柊に連れられてやってきた、詩音と夏実のお父さんが、息を切らして俺に聞いてくる。
「きゅうきゅうしゃで.......」
「ありがとう。車で向かうから、落ち着いたら連絡する」
また、来た道を全速力で引き返していった。
「しゅう、なにがあったんだ?」
「りゅうざきが.......」
「え?りゅうざき?」
俺の知る限りでは、まわりに竜崎はいなかったはずだ。