ずっと前から好きだから
「さんにんでこうえんにいこうとして、しんごうまちをしていたんだ。そしたら、りゅうざきが『たくみくんに嫌われたのはしおんちゃんのせいだ』って。それで、しおんのこと.......」



現場をみていただろう、柊は青ざめた顔のままだった。



「おれのせいなのか?」



俺がイライラして、竜崎のこと嫌いっ言ったから。
それで、あいつは詩音のこと.......



「おれもあっというまでなにもできなくて.......でも、なっちゃんがとっさにしおんのことつきとばして」



そう言って、柊の目からは涙がながれている。

柊は夏実のことが大好きだったから。
夏実のことが心配でたまらないんだとおもう。



「たくみ、なっちゃん、だいじょうぶだって!」



夜になって、嬉しそうに柊が俺の家にやってきた。



「うん、さっきおじさんからでんわきた。よかったな」



このとき、俺達はこのあとにおこる、衝撃的なことに何も気づいていなかった。

こんなことがおこるだなんて、誰が予想できたのだろうか。
でも、この世からいなくならないのなら、何が起こったって仕方ないんだ。

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