ずっと前から好きだから
「あ、しゅうくん!」



1週間後、俺と柊が夏実の病院を訪ねると、ベッドには横たわっている詩音がいた。



「あれ?どっかいたいの?」



詩音が入院しているだなんて、知らなくて、一瞬にして、焦ってしまう。



「あたまうっちゃったみたいで、あ、それよりしゅうくん、すきだよ!」


「.......え?」



何が起こったのか理解ができなかった。
だって、詩音は兄貴のことが好きだったはずなのに。



「どうし.......あ!ちょっとたくみ!」



詩音にわけを聞こうとした、柊が一瞬目を見開いて、そのまま俺の腕を引っ張って病室の外へと連れ出す。



「しゅう?」


「しおんのなまえがなつみってかいてた」


「は?」



匠の言っている意味が理解できなかった。



「あら、ふたりとも夏実のお見舞いにきてくれたの?ありがとうー」



ふふふっと笑ってやってきたのは、二人のお母さん。



「おばさん、そこにいるのは.......「匠、柊、ちょっとおいで」



俺がおばさんに夏実ではなく、詩音であることを言おうとしたとき、やってきたおじさんに止められた。

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