ずっと前から好きだから
「匠……」


「ことあるごとに、柊と夏実に見てもらいたかったなって言ってた」


「柊くんと……」



ずっとずっとふたりのこと、忘れたことなんかなかった。
ネットで結果を検索したりして、ふたりの活躍はいつもチェックしてた。

でも、実際に生でみたいって思いはいつもあった。



「だから、一緒なんだよ。お前と俺と柊と」


「……っ」



匠の言葉はいつから、こんなにあたしを安心させてくれるものになったのだろうか。



「あー、匠に先越された」



ボンッとベンチにカバンを置く音がして、そんな声が聞こえた。



「おお、柊」



ゆっくりとゆっくりと振りむいた。

昨日の一瞬なんかよりも、長く。
見えたその顔は、あたしがずっとずっと会いたいと願っていたその人の顔だった。



「しゅ……「あれ、クラスの子でもつれてきたのー?」



名前を呼ぼうとしたあたしの言葉は、柊くんの言葉によって引っ込んだ。



「え、柊?」



匠もビックリしてるようで、目を丸くしてる。



「ん?ほら、匠。投げろよ」

< 17 / 192 >

この作品をシェア

pagetop