ずっと前から好きだから
「なんなーくなんだけど、目を閉じると浮かんでくるの。小さかった頃のあたしたちが」


「.......え?」



きっと、これからも思い出さないものだと思っていた。



「あの日、あの子に会ってから夢にでてくるようになったの。自分が詩音って呼ばれてる夢」


「.......え」


「でも、匠のことが既に好きだったから、匠が詩音さんを好きだからあたしは夢の中で詩音さんになってるなんて、正直痛いなって思ってた」



ははって苦笑いをする詩音。



「あたしが詩音であってたんだね」



もう、泣いてない。
笑顔で、そう話す詩音。



「もう、認められるか?自分が詩音だって」


「匠があたしのこと、認めてくれるなら」


「じゃあ、あいつにも.......夏実にもこの話してもいいか?」



俺の言葉に静かにこくんと頷く詩音。



「あたし、詩音として生きたい。匠と買ったあのネックレス一緒につけたい」



そう、詩音が言ってくれることに安堵の心が広がる。

俺は、ほっとして、自分の首についてるネックレスに手を触れる。

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