ずっと前から好きだから
「お前、自分にヤキモチやいてたんだな」


「もう、うるさいよ」



そんなふうに口では言うけど、詩音は耳まで真っ赤だ。



「ほら」



ポケットの中から、さっきボックスから取り出したネックレスを詩音の首へとつける。



「え、持ってきてたの?」


「なんとなくな」



小学2年にしては、ませていたのかもしれない。
水族館に学校の授業で行った。
近所の水族館だったけど、詩音は行ったことがなくて。
でも、夏実はおばさんに連れてってもらったことがあるみたいで。

詩音は、それを知っててしょんぼりしてて。
そして、学校に行かない詩音はそれも行けなくて。

だから、俺は詩音に笑って欲しくて、貯めたお小遣いを全部使って、2人でこっそり水族館に行ったんだ。

詩音はすごく喜んでくれて、帰り際、どうしても思い出がほしくてこのネックレスをふたつかった。

毎月のお小遣いも、毎年のお年玉も。
特に欲しいものがなかった俺はずっと貯めてて。

でも、これで全部なくなったのも笑えるけど、いい思い出だ。

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