ずっと前から好きだから
「お前に好きだって言われるやつは、女だろうと男だろうと羨ましいんだよ」


「匠.......」



行き過ぎるくらいなんだろうけど、それでもあたしのことを好きだと言ってくれて、独占欲をみせてくれる。
そんな匠に嬉しくならないわけがない。



「ごめんな、俺思ったより独占欲強いらしいわ」


「思ったよりって」



そんな匠が可愛くて、ふっと笑ってしまう。



「笑うなよ。いままで、会えなかったときもずっと好きで、やっと手に入れられたんだ。本当に誰にも負けないくらいお前のこと思ってる自信あるんだ」


「匠、ありがとう。あたしも誰よりも匠のことが好きな自信あるよ」



この高校に来た目的は、柊くんだったけど。
それは、あたしじゃなくて夏実の思い出だ。



「柊の事好きって言ってたくせにな」


「もう、それはあたしじゃないもん」



詩音は、小さいころからずっと好きな人が変わってないんだよ。
あの頃、学校にも行けなくなったあたしを家から連れ出してくれるのはいつも匠で。
匠は、あたしのヒーローだったんだ。

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