ずっと前から好きだから
「分かってるよ。でも、お前の口が柊のこと好きって言ってたのが悔しいから.......」



そこまで言って、匠の言葉が途切れる。



「.......匠?」


「俺が塞ぐ」



そう言ったあと、すぐに匠の唇であたしの唇は塞がれる。



「た、くみ.......」


「もう、俺以外のこと好きだなんて言うなよ」


「言わないよ、絶対に」



こんなに愛しいと思う人は、きっともう現れない。
あたしが大好きな人は間違いなくこの人なんだ。



「よし、帰ろう」



満足したのか、あたしに手を差し伸べてくる。



「うんっ」



愛しいその人の暖かい手をとって、幸せを噛み締める。



「ずっと前から好きだから」


「うん」


「今この瞬間が幸せで堪らないんだ。夢みたいなんだ。でも、夢じゃなく現実なんだよな」



ふと、見上げた匠の表情が、本当に幸せそうで。
自分の存在意義をたしかめられたような気分になる。



「匠、ありがとう。あたしのこと、思ってくれて」



「それは、こっのセリフ。この気持ち、大切にしような」



ふたりで仲良く歩いていく。
どんなにつまずくことがあっても、匠と一緒なら乗り越えられる。

なにがあっても、君と一緒に。

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