ずっと前から好きだから

気付きそうな気持ちには、気付かない

「ちょっと、どうしてくれるの!?」



あたしは、怒っていた。
現在の時刻は夜の20時。
部活が終わって帰ってくる、匠のことを玄関で出迎えていた。



「なに、怒ってんの?」



ドサッとバットやグローブの入ったカバンを廊下において靴を脱ぐ。



「忘れたとは言わせないわよ?部活に行く前のこと」


「あぁ、あの先輩たちのことか」



あたしの言葉に思い出したような顔になる匠。



「あのあと、匠は部活に行ったからいいけど、あたしはいろんな人から質問攻めで大変だったんだからね!?」


「いいじゃん。俺が女の子達に追いかけられなくなるのが目的だし?」



あたしの言ってることなんて、特に気にする様子もなく、笑ってそのままリビングへと向かっていく。



「匠はいいかもしれないけど……「大丈夫だっての。どこまで噂になろうと、柊の耳には入んねーよ」



振り返って、ポンっとあたしの頭に手を触れる。



「それだけじゃないってば……」



出来れば、平和な毎日を送りたい。
そう思って入学しているのに。

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