ずっと前から好きだから
「別に誰かにしてもらいたいとかじゃねー」


「は?」


「別になんでもねーよ。とりあえず迎えにこいよ」



ヒラヒラと手を振って、バスルームへとあるいていく。



「あ、そういえぱ部活終わって帰ってきたばかりだった」



匠がバスルームへ歩いていって、改めてハッと気づく。
あたしは、放課後のんびりしていただけだけど、匠は疲れてかえってきたばかりだ。

ずっと廊下で話していたけど、ちゃんとリビングにいって着替えたりしてもらうべきだったとなんだか、申し訳なくおもってしまう。



「いやいや、あいつがあんなこと言うから……」



悪いのは、匠なんだと首をふるふる振ってソファーへと向かう。



「でも……」



あたしだけ何もしないのは、なんだか気が引けて、自分がさっき先に食べた今夜のおかずを鍋で温めて、匠が上がる頃目掛けて、食卓に並べてあげた。



「すっげえ、嬉しい。ありがとう」



髪の毛を拭くのも中途半端に、喜ぶ匠を見て、こんなのも悪くないななんて思ったりもして。

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