ずっと前から好きだから
「え?なにこの行列」


「俺はここに並んでるから、お前は前に行って看板でも見てきたら?」


「う、うん」



何かわからない、長蛇の列の横をどんどんと通り過ぎて、1番前に立っているお店の看板へと歩み寄る。

〝ケーキバイキング〟と書かれている。
看板から得られた情報によると、金曜日にオープンしたばかりのお店らしい。

匠はいつの間にか、甘いものが好きになったのだろうか。
あたしの記憶が正しければ、そこまで得意ではなかった気がする。



「見てきたか?」


「うん。でも、匠がここに入ろうとするなんて意外」


「昔の俺じゃねーんだよ。今は普通に食べる」


「ふーん……」



こういう店に良く来るのだろうか。
来るとしたら、誰と来るのだろうか……なんて考えてしまう。

男同志でこんな店に来るとも思えないし。
やっぱり、こういう店には女の子と来ているのだろうか。



「なんか、難しい顔してんな?」



あたしの顔を覗き込んでくる。

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