ずっと前から好きだから
「べ、別に……匠が誰と来てるかなんて考えて……あっ」


「ふーん?そんなこと考えてくれてんだ?」



わかってるくせに、意地悪そうな笑みを浮かべる。



「考えてないってば……」



そんなこと考えてるなんて、まるであたしが匠のことを好きだって言ってるみたいじゃない。

でも、違うもん。
あたしが好きなのは、柊くんだから。



「ま、いまはそーいうことにしておいてやるよ」



ニコッと笑うけど、その笑顔の裏で考えてることはあたしには読めない。



「これって何時間くらい待つものなの?」



話題を変えたくて、違う話を振る。



「さぁ?俺だってさすがにオープンしたばかりのこの店は初めてだからわかん……「あー、匠だ!またこの子といるのー?」



匠の言葉を遮って聞こえてきた大きな声。



「珠美(すみ)」



立っていたのは、前にあたし達の関係を問いつめてきたことのある先輩だった。

制服姿でも、スラっとした美人だったけど、私服だとそのスタイルの良さがさらに強調されている。

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