ずっと前から好きだから
ふと、お店のショーウインドウに映る自分。
そして、いま話している、匠と先輩の姿。

ショーウィンドウに映ったって、ふたりの方がお似合いなのは明確だ。



「あたし、帰りたい」



なぜだか、わからない。
2人の姿をみていたらそんな言葉が出ていた。



「……は?」



怪訝な顔をして、あたしに目を向ける匠。



「なんか、ケーキバイキングっていう気分でもないし、その先輩と食べておいでよ。先に帰ってるね」



そのまま、列の中から抜ける。



「おい、夏実!」



焦ったような、匠の声が聞こえてきたけど、そんなのは無視。

だって、わからないんだもん。
自分がイライラしている理由が、本当にわからない。

でも、ショーウィンドウに映る私服を着ても冴えない自分と、私服を着て、更に綺麗に見える先輩。

比べても、比べるに値なんてしないけど。

なんだか、惨めになった。
あそこにいるのが嫌になった。



「はぁ、マンション着いちゃった……」



歩いて、気がつけばマンションの前。

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