ずっと前から好きだから
時を経て、女の子の扱いが上手くなった気がする。

彼女もいるんだもん、あたりまえか。
でも、そんな柊くんだってどれもあたしの好きな人だ。



「なんだ、柊といたのか」



息を切らして、マンションへと入ってきた匠。



「た、匠!」


「柊、ごめん。こいつ今日はもらう」



あたしの手首を掴んで、そのまま引っ張っていく。



「ちょ、ちょっと匠!?」


「お前、ムカつく」


「……はぁ?」



そのまま、マンションの外へ出てズンズンと歩いていく。



「なんか、すげぇ泣きそうな顔してた。店からいなくなるとき」


「そ、そうかな?」



匠の言葉に惨めな気持ちをまた思い出してしまう。



「なのに、マンション戻ったら柊の前で頬染めやがって」


「だって……可愛くなったなんて言われたら、そりゃ……」



さっきの柊くんを思いだして、また頬が赤く染まってしまいそうになる。

惨めになったり忙しいあたしの心。



「柊のやつ、思い出したのか」



はぁっとため息を着きながら、到着したのはさっきのお店。

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