ずっと前から好きだから
「ちょ、なんでまた……」



それもたどり着いた場所は、最後尾ではなくさっき並んでいた場所。
そこに並んでいたのは、さっきの先輩。



「ありがと、珠美」


「どーいたしまして。じゃ、楽しんでね」



ヒラヒラと手を振って、どこかに歩いていく。



「なんで、わざわざあの人に待ってもらってまで……」


「どうしてもお前とここに入りたかった」


「……え?」



どうしてか、少し不安そうな目をしている匠。



「お前は、俺のだろ?他の男のとこなんていくんじゃねーよ」


「……フリでしょ」


「いいから、俺の女だって自覚持っとけよ」



あたしが好きなのは、柊くんだし。
その柊くんがあたしのことを可愛いと言ってくれたんだ。
あたしのことを思い出してくれたんだ。

それだけで、この上ない嬉しさなのに。
そんなあたし達の空間を邪魔する匠が許せない。



「匠の傲慢」


「うるさい、いいから黙って俺の隣にいろ」


「ここは学校じゃないのに」



女に言い寄られるのが面倒で、あたしはこの人の彼女のフリをしてあげてるのに。

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