ずっと前から好きだから
chapter.2

熱戦のあとは

「あー、やべーな。これ」


「おーい、がんばれー!ここ守りきれよ!!」


「甲子園まであと一歩!」



暑く日が照ったスタンド。
汗ばむ体。
そして、たくさんの声援。

今日は、野球部の甲子園予選。
決勝戦だ。

9回まで投げてきたエースピッチャーが、捕まった場面。
ここを守れば甲子園ってとこで1アウト満塁の大ピンチ。



──西進(せいしん)高校、バッテリーの交代をお伝えします。ピッチャー多田くんに代わって、浅川くん。キャッチャー杉山くんに変わって、五十嵐くん。ピッチャー浅川くん。キャッチャー五十嵐くん。



「匠と柊だ!」



こころちゃんがあたしの肩をバンバンっと叩く。



「う、うん」



1年から、ベンチ入りしたのは、2人だけ。
「出れるかわかんねーけど、ひと暴れしてくるわ」なんて、朝に言ってたっけ。



「よーし、期待の一年頼むぞー!」



スタンドの生徒達が大声で応援してる。



「匠ー!柊くん!頑張れー!」



あたしも、ここぞとばかりに大声を出した。
普段、ここまでの声を出さないからこころちゃんもビックリしていた。

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