ずっと前から好きだから

好きだと言われて気づく想い

「俺、今日病院行くから部活休み」



放課後。
あたしの席の前に立っている匠。



「病院?どうしたの?」


「ちょっと肩張ってるから診てもらうだけ」


「そっか。じゃあ帰ろう」



匠が部活に出ないということは、一緒に帰ろうということだと思って、あたしもカバンを持って立ち上がる。



「お前、部活見てけよ」


「は?」



匠の言葉の意味がわからず、首を傾げる。



「今日、柊の彼女来ないらしいから」


「.......え?」



突然の匠の提案に、戸惑う気持ちがでてくる。



「一緒に帰れよ。柊と」


「え、柊くんと.......?」


「高校生になって、柊と一緒に帰るのはお前の夢だろ」


「う、うん.......」



たしかに、この高校を受験するとき、励みにしていたのは、柊くんと一緒に帰る未来だ。

でも、現実は柊くんには彼女がいて、描いていた未来にはななかった。



「たまにはいーじゃん。お前が味わってもさ」


「.......うん」



なんだか腑に落ちなさを感じながら、歩き出した匠の後を追う。
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