ずっと前から好きだから
「やめろ、見るな」



あたしの目を自分の手で覆う。



「ちょっと、匠!」


「こんなんずるいだろ。あんなこと言われるなんて不意打すぎるって」



深くため息をついてから、手を離す。



「匠.......」


「きょ、今日はもう寝る!」



バッと立ち上がって、そのまま部屋へと歩く。



「寝るって.......まだ19時.......」



すごく照れて、早口になっている匠にぷっと笑いが込み上げる。



「まだ、見込みあるって思ってもいいのかな.......」



こんなに照れてくれるってことは、少しはあたしのこと好きでいてくれてるのかな。
そう思ってバチは当たらないだろうか。



「いつか.......」



好きだと伝えられたら、いいな。
そして、恋人のフリなんかじゃなくて、ちゃんとした恋人になれる時がきたらいいな。

匠の気持ちはなにもわからないけど。
そうやって、期待するくらいしてもいいよね。
だって、好きな気持ちは大切にしたいから。

いつか.......って信じてるから。

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