ずっと前から好きだから
そんな人に、忘れられない人がいるだなんて。
普通は笑顔で話すことではないと思う。



「そんなこと、ないよ」



分からないけど。
匠は、あたしの本当の彼氏ではないから。



「匠くんがいつもつけてるネックレスのトップみたらわなるよ」



竜崎さんは、それだけ言うと教室から出ていった。



「ネックレスのトップ.......?」



たしかに匠の首には、毎日つけているネックレスがあった。
特に気にしたこともなかったし、オシャレだなくらいにしか思っていなかった。



「.......え、嘘でしょ」



自分のことを好きだなんて、思っていない。
いつか、自分のことを好きだと思ってもらえるように頑張りたいと思っていたのに、忘れられない人がいるだなんて、そんなのってない。



「聞いてみようかな.......」



いままで、ネックレスについて触れたことはなかった。
気にしたこともなかったから、当然だけど。
話題にしてみたら、なにか分かったりするだろうか。



「よし、ご飯の時に聞いてみよう」

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