黒い鳥
デートに行く用意ができている様に、別れる気も既に用意できていた。
アイツがもし私より先に待ち合わせの場所に来てなかったら、言ってみよう。

まだ諦めず確かめる。私とアイツのチャンス、私が最大限に出し切るつもり。

「母さんでかけるね。夕飯いらないから。」


待ち合わせ場所に6分前につく。まだ序の口だ。
今日は朝から雨なので、休日にしては人が少ない。私は安堵した。
「(これなら、水族館も空いてそうだ・・)」

母が数週間前に新聞をとった。オマケは水族館のチケット。
それを私がもらったのである。彼を誘ったのが5日前、今日がその日。

6分すぎて8分すぎた。私は電話しようと携帯を探す。
メールが届いていた。16:22分、アイツ発。
マナーモードにしていたので気付かなかった。16:22分と言えば家を出てすぐの時だった。


件名:ごめん(^_^;)
本文:今、雨降ってるよね・・・ごめん、予定変えてうち来ない?


私より後に遅れて来たら、アイツが待ち合わせ場所に来たら、言うつもりだった。
論外だ。まだ私は言わなくていい理由を必死で模索していた。

彼の部屋にあがりこむなんて、エッチ確定お決まりの流れ。
アイツは甘い言葉1つや2つ吐きかけてヤル流れに持ち込むのだろう。


私はそんなの嫌だった。
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