100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ
きみと迎えた四回目の朝
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適当だと思ってた印象がどんどん変わっていく。
優しいところ。
まっすぐなところ。
甘党なところ。
ピアノが弾けるところ。
肩を並べて、私はただ佐原のメロディに合わせて鍵盤を叩いて。
二回目の演奏がうまくいって子どもみたいに「楽しかった」と言う彼に『私も』と言いかけて、ぐっと言葉を喉の奥へとしまい込んだ。
だって、そんなものを覚えてしまったら……。
楽しいなんて認めてしまったら、耐えられなくなりそうなことが多すぎて。
ひとりになった時に、もっともっと弱くなってしまいそうで。
その日の夜。美波の提案で晩ごはんは外に食べにいくことになった。
私は食欲もないし、一緒に行っても邪魔なだけなので断ったけれど、「たまにはいいじゃないか」という忠彦さんの言葉に押されてしまい、結局私も行くことになってしまった。
選んだお店はイタリアンだった。もちろん行き先も美波が決めた。
薄暗い店内では洋楽のBGMが流れていて、店の奥にはグランドピアノ。論(ろん)なく頭には佐原のことが思い浮かんだけれど、それを打ち消すように四人掛けのテーブルへと案内された。