100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ
「私、ハンバーグがいいなあ。あ、でもオムライスも前に食べた時美味しかったよね!」
ひとつしかないメニューを独占するように美波は見ていた。どうやら以前に何度か来たことがあるらしい。
「貴方ワインでも飲む?」
晴江さんはドリンクメニューを忠彦さんに見せていた。
「でも帰り運転が……」
「今日は代行を頼みましょう。私も飲みたい気分なの」
次々と食事や飲み物を決めていく中で、私だけがこの場の雰囲気に馴染めずに浮いていた。
「海月はなにがいい?」
そう尋ねてくれたのは、やっぱり気遣いの忠彦さんだった。
外食慣れをしていないってこともあるけど、こうして三人と同じテーブルを囲むといまだに緊張してしまい、喉が塞がれたように食が細くなる。
「……私はサラダだけでいいです」
メニューを見る限りサラダもなかなかの量だし、食べきれるか不安だけど。
「遠慮しないでいいんだよ。ほら、パスタも美味しそうだし、デザートだってたくさんあるよ」
「いえ、本当にサラダだけで」
小さく答えると、晴江さんは忠彦さんが持っていたメニューを取り上げた。
「いいじゃない。食べたくないなら無理させることないわ」
呆れたような言い方に気まずい空気が流れたけれど、頼んだお酒がすぐに運ばれてきたこともあって、また三人は楽しく雑談をはじめた。