100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ
「ねえ、夏休みに入ったら旅行に行こうよ!私、江ノ島行きたい」
食事もすべて運ばれてきて、美波はハンバーグを美味しそうに頬張りながら話を振る。
「江ノ島に行くなら私は北海道がいいわ。せっかくなら飛行機に乗って遠出したいもの」
「俺は京都がいいな。お寺巡りとかどう?」
「もう、意見バラバラじゃん!」
楽しそうな会話が続く中で、私は黙々とサラダを食べていた。
食べても食べても減らない。残したらいけないというプレッシャーからだろうか。
なんだか胃がムカムカとしてきて、私はフォークを止めてしまった。テーブルの下でお腹を抑えてもキリキリする胃痛はひどくなるばかり。
精神的?それとも病気のせい?
……家を出る前に薬を飲んでおけばよかった。
「気分でも悪いの?」
うつ向く私に気づいたのは晴江さんだった。
体調が悪いなんて言えない。こんなに楽しそうな雰囲気を壊してはいけない。
せっかくの外食を台無しにしてしまうと思い、私は「いえ」とすぐに答えた。
「だったらどうして下ばかり見てるのよ」
晴江さんの機嫌が再び悪くなっていく。
「端から見たら私たちがあなたのことをのけ者にしてるみたいに思われるじゃない」
そう言って、グラスに入っていたワインを一気に飲み干した。