100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ


面倒くさい。

顔を覚えられるのも、声をかけられるのも、いつも買いにきますよねって観察されるのも、なにもかもが面倒くさい。

私は店員の言葉を待たずに、そのままコンビニを出た。すぐに冷えていく指先を暖めるようにしてホットレモンを握りしめる。


そういえば、〝あの日〟もこの道だった。


雨が降るなんて予報は出ていなかったのに、私の気持ちを反映するように急に降ってきて。

濡れていく制服が冷たかったけれど、そんなのどうでもいいくらい思考がぐちゃぐちゃで。


たぶん、きっと、あんなにも神様を恨んだことはなかった。

なんで私なの?なんで私ばっかりって何度も心で叫んでた。


でも、もっと不幸なのは、そんな時に、偶然私に出会ってしまったあいつかもしれない。

甘えることも頼ることもしてこなかった人生だったのに、あの日だけはダメだった。



『ねえ、朝まで一緒にいてよ』


すがるようにして吐き出した言葉を、私は今も後悔している。

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