100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ
「……なんで、あんたが……」
虚ろな瞳で海月は俺を見る。
「なんでじゃねーよ。すげえビビっただろ」
あのまま倒れてたら確実にトラックに当たってた。
海月はどこかに行く予定か、あるいは行った帰りだったのか、スウェットの俺とは違い、膝丈の紺のワンピースを着ていた。
もっと早く海月だって気づくべきだったけど、私服なんて初めて見たし、学校では下ろしてる髪の毛をひとつにまとめていたから遠目では印象が違った。
「どうした?貧血か?」
海月の額に触れると、やっぱり体温は低かった。しかも支えている身体は見た目以上に薄くて細くて、簡単に折れてしまいそうなほど。
「病院行く?ってか、行こう」
力も抜けたままだし、意識が朦朧としてる。
貧血ってなに科?とりあえず内科か?分かんないけど、近くに病院があったはずだし、背負っていけば10分で着く。
「病院は……行かない。大丈夫。ただの目眩、だから病院は……」
「え、お、おい!海月!!」
俺の呼びかけも届かずに、海月はそのまま気を失ってしまった。