100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ
目眩で人は意識を失うのか調べた。結果は人によってはあるらしい。……そんなの、あってたまるか。
俺があの瞬間、通りかかっていなかったら海月は……。そう考えると背筋がゾッとする。
「……ん……」
しばらくすると、海月が目を覚ました。
「起きた?」
ベッドに寄りかかっていた俺は、ページをめくるだけでほとんど頭に入っていない漫画を閉じた。
「ここ……どこ?」
海月は瞳に映る知らない景色を確認するようにベッドから起き上がる。
「俺の家」
「え?」
「んで、俺の部屋」
あのあと海月を背負った俺は家へと向かった。本当は病院に連れていくべきだったんだろうけど、気を失う寸前の海月が頑なに病院を拒否してる気がしたから。
「倒れたこと覚えてる?」
「……断片的には」
そう言って海月がこめかみを擦った。少し眠ったことで顔色はだいぶ良くなってきたけど、ただの目眩じゃないことはバカな俺でも分かる。
「なあ、お前の体調不良の原因ってなに?」
いつもフラフラとしてるし、この前の保健室の時もそう。青白い顔をして頻繁に意識を朦朧とさせられたら心配で俺がどうにかなりそうだ。
「……さあ、ホルモンのバランスとかじゃない」
海月は自分のことなのに、他人事のような口調。